生成AIによって画像や動画、音声を生み出す選択肢が広がり、コンテンツ制作の入口は大きく変わりました。AI動画編集とは、新しい素材を生成する技術だけを指すものではありません。既存素材を理解し、必要な場面を探し、単純・反復作業を効率化するなど、一本の動画を完成させるまでの制作工程をAIで支援することも含まれます。Wondershare Filmora(フィモーラ)では、こうした「完成までの制作工程を支えるAI」を、AI動画編集の重要な役割の一つとして捉えています。クリエイターの判断や表現を置き換えるのではなく、素材の把握や編集にかかる負担を減らし、よりスムーズに完成まで進められる制作体験を目指しています。
当社が2026年にフォトグラファーとコンテンツクリエイター1,011名を対象に実施した調査では、「編集作業に時間がかかる」が32.4%で、制作業務上の課題として最多でした。※1 素材が撮影したものか、AIで生成したものかにかかわらず、動画編集の効率化や、完成までのワークフローをどう短く・分かりやすくするかは、引き続き重要なテーマです。
AI動画編集の価値は、「作る」だけでなく「速く編集する」ことにも
動画編集におけるAI活用は、すでに特別なものではなくなりつつあります。当社が2024年に動画編集者1,010名を対象に実施した調査では、AI活用のメリットとして「シンプルな編集作業を自動化できる」が61.5%、「時間とコストを削減できる」が52.2%に上っています。※2
つまり、AI動画編集の価値は、生成機能だけではなく、編集作業の自動化や時短にもあります。単純・反復作業をAIが支援することで、クリエイターは構成や表現など、人が判断すべき部分により多くの時間を使いやすくなります。AIはすべてを代わりに決める存在ではなく、制作の負担を減らし、編集を前に進めるための支援役として活用が広がっています。
素材を「理解する」ことも、AI動画編集の一部
動画制作で扱う素材は、AIが生成したものだけではありません。スマートフォンで撮影した複数テイク、画面収録、音声、画像、ストック素材、過去のプロジェクト、そして生成素材など、さまざまな情報源が混在します。素材の種類や量が増えるほど、「何があるかを理解する」「必要な箇所を見つける」「使うものを選ぶ」という判断の前工程も増えていきます。
動画素材の管理や検索も、単なるファイル整理ではありません。ファイル名や撮影日時だけでは、映像の中に何が映っているのか、どこで何を話しているのか、目的に合う場面がどこにあるのかまでは分からないことがあります。素材を内容から理解し、必要な場面を見つけ、そのまま次の編集判断につなげることも、AI動画編集が制作を速められる領域の一つです。
ここで重要なのは、素材の量そのものだけでなく、「必要な素材にたどり着くまで」にも時間がかかるということです。撮影素材、既存素材、生成素材が混在するほど、素材を確認し、使うものを選ぶ前工程は複雑になります。AIによる素材理解や検索は、この前工程を短くし、より早く編集判断へ移るための支援として位置づけられます。
AIの役割は、クリエイターの代わりに決めることではない
AIが素材の把握や単純・反復作業を支援できるようになっても、最終的に何を使い、どう並べ、どのテンポで見せ、どこまで仕上げるかを決めるのはクリエイターです。AIの価値は、判断そのものを奪うことではなく、判断にたどり着くまでの摩擦を減らすことにあります。
2026年に公表された日本のSNSクリエイター調査でも、86%が「最終的なクリエイティブ上の判断は常に自分に残るべき」と回答しています。※3 AIが制作を速くすることと、クリエイターがコントロールを手放すことは同じではありません。
生成AIも、編集支援AIも。重要なのは「完成までの制作体験」
AI動画編集を考えるとき、生成AIと編集支援AIを別々の話として捉える必要はありません。新しい素材を生み出す、素材の内容を理解する、必要な場面を探す、使うものを選ぶ、単純な編集を自動化する、仕上げる。AIは制作フローの複数の地点でクリエイターを支援できます。重要なのは、この一連の流れを分断せず、クリエイターが自分の意図を保ったまま完成まで進められることです。
生成、素材理解、検索、編集支援がそれぞれ別のツールや工程に分かれていれば、機能が増えても制作体験が必ずしも速くなるとは限りません。重要なのは、必要な機能を行き来する負担を減らし、素材を見つけてから編集・仕上げに進む流れを途切れさせないことです。動画編集のワークフロー全体を効率化できるかどうかも、これからのAI動画編集を考えるうえで重要な視点になっていきます。
「機能の数」より、完成までの摩擦を減らせるか
生成AIは、AI動画編集における重要な機能の一つです。しかし、実際の動画制作には、撮影した素材を把握し、必要な場面を探し、使うものを選び、編集し、仕上げるまでの多くの工程があります。
AIが担えるのは、新しい素材を作ることだけではありません。素材を理解し、探す時間や単純・反復作業を減らすことで、クリエイターが「何を残し、どう見せるか」という判断により多くの時間を使えるようにすることも、AI動画編集の役割です。これから問われるのは、AI機能をいくつ搭載しているかではなく、一本の動画を完成させるまでの制作の摩擦を、どこまで減らせるかではないでしょうか。
Filmoraが目指しているのも、AIに制作を任せることではなく、クリエイターがより少ない手間で、自分の意図を形にできる編集体験です。生成だけにとどまらず、素材を理解・探す工程や編集作業の効率化など、制作のさまざまな場面でAIを活かしながら、最終的な判断と表現はクリエイターに残す。そうした「完成までを支えるAI」を、Filmoraはこれからも追求していきます。
注・出典
※1 株式会社ワンダーシェアーソフトウェア「【1000名のクリエイター・フォトグラファーに調査】プロは「高度な機能」を、クリエイターは「直感性」を最優先!制作のプロ2職種を分かつソフトウェア選びの「絶対基準」とは」2026年5月18日。PRIZMAによるインターネット調査、n=1,011(フォトグラファー503名/コンテンツクリエイター508名)。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000959.000020603.html
※2 株式会社ワンダーシェアーソフトウェア「AI時代の動画制作で問われる、人間ならではの感性とスキルとは?」2024年10月17日。PRIZMAによるインターネット調査、動画編集者 n=1,010。https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000859.000020603.html
※3 参考:アドビ株式会社「2026年版クリエイターツールキットレポート」日本調査結果、2026年7月30日。日本を含む8市場・SNSクリエイター16,000名超を対象としたグローバル調査の日本結果。https://news.adobe.com/ja/news/2026/07/20260730-adobe-creator-toolkit-report